プロという夢をかなえてくれたツエーゲン金沢への感謝
前年から引きずる故障の影響でやや出遅れたが、「上を目指すにはつまずいていられる年齢ではない」と一念発起。チームトップの13ゴールをあげて、再びリーグのベストイレブンに選出された。
シーズン中には、翌2014シーズンから創設されるJ3にツエーゲンが参戦することも決定。オフに異例ともいえる5年契約を結んだ清原は、新たな舞台に挑むチームの象徴としてキャプテンに指名される。
清原自身、プロという夢のひとつをかなえてくれたツエーゲンにはいまでも感謝している。2012シーズンのオフに声をかけてくれなかったら――。仮定の質問に対して、即座にこんな言葉が返ってきた。
「(いまの僕は)なかったと思う。どうなっていたかはわからないけど、教職を取り直して、おそらくは学校の先生をやっているかもしれませんね」
ツエーゲンの初代J3王者の拝命は、再びチームトップとなる9ゴールをあげ、キャプテンとしても力強くけん引した清原の存在を抜きには語れない。J2に舞台を移した2015シーズン。清原は4月末までにリーグトップの8ゴールをあげて、堂々の月間MVPを獲得する。
夏には生涯の伴侶も得た清原にその年のオフ、2度目のターニングポイントが訪れる。セレッソから届いたオファー。ツエーゲンとの契約はまだ3年も残っている。何よりも、自分を拾ってくれて、J3からJ2へと未知なる舞台に導いてくれた恩もある。
一方でもうひとつの夢、J1の舞台でプレーする可能性を比較すれば、2015シーズンのツエーゲンは前半戦こそ首位に立つ快進撃を見せながら後半に失速して12位に終わった。翻ってセレッソは1年でのJ1復帰こそならなかったが、J1昇格プレーオフ決勝まで駒を進めている。
悩んだ。悩み抜いた。時間の経過とともに、上の舞台を目指したいという、アスリートの本能とも呼ぶべき思いが勝るようになった。ツエーゲンも最後は力強く背中を押してくれた。功労者でもある清原へ、西川圭史代表取締役GMはこんな言葉をサポーターに発信している。
「おそらく石川県内でもっとも名前の知られた選手となっている彼が、チームを離れることは大きな痛手です。しかし、もっと上の世界に挑戦したいという意思を尊重し、快く送り出してあげたいと思います。ぜひ彼の挑戦を応援してあげてください」