今季で契約満了のヴェンゲル監督。バイエルン戦大敗で強まる退任を望む声
アーセン・ヴェンゲルはアーセナルの域を超えたイングランド・サッカー界の偉人。フランス人監督の功績は、1998年に外国人監督として史上初めて達成したリーグとFAカップの二冠や、2004年に成し遂げた史上2チーム目のリーグ無敗優勝を含む、クラブでの主要タイトル計9冠にとどまらない。
攻撃的なパスサッカー、科学的な選手の栄養管理、近代的な専用練習施設、経営的観点からも眺めるチーム作りなど、先見の明を持つ指揮官として革命的な影響をサッカーの母国に与えた。
しかし、そのイングランドではヴェンゲルの「今季限り」を妥当とする見方が日増しに強まっている。契約満了に伴う今季末の退任を求める声は、バイエルン・ミュンヘン相手の5失点大敗に始まり5失点大敗で終わった2月半ばからの3週間で、格段にボリュームを増した。
CL16強対決での最終スコアは「2-10」。国内紙が「欧州戦2試合合計でイングランド史上最悪の大敗」と報じる結果となった3月7日の2ndレグでは、試合前から数百名単位のファンが「ヴェンゲル退任を望む!」と歌いながらエミレーツ・スタジアムへと向かっていた。
その数は6万人規模のホームに集まった観衆の100分の1程度に過ぎない。試合終了時のブーイングも、不利な判定を繰り返した審判が主要ターゲットだったと理解できる。
だが、前回の契約最終年だった3年前にはメディアで「非礼」と窘められた一部ファンの意思表示は、もはや行き過ぎとはみなされなくなった。それどころか、「潮時」として認められるようになっている。