まさかの逆転負けにうなだれるPSGのGKケビン・トラップ【写真:Getty Images】
バルセロナは現地時間8日、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦2ndレグでパリ・サンジェルマン(PSG)に6-1で勝利を収めた。
アウェイでの1stレグを0-4で落としていたバルサだったが、CL史上初めて4点差をひっくり返す大逆転で2戦合計スコアを6-5とし、10年連続となるベスト8進出を果たした。
開始直後の3分、この試合の流れを決定づける重要なゴールが生まれた。
バルセロナは中央のセルヒオ・ブスケツからハビエル・マスチェラーノとパスをつないで右サイドへ展開する。ボールを受けたラフィーニャはペナルティエリア内を確認し、クロスを上げた。
この場面でラフィーニャは右足でボールをコントロールしてから左足に持ち替え、2タッチして内側に切り込むような素振りを見せてからクロスを選択した。ここでPSGの守備陣は必要以上にディフェンスラインを下げてしまう。
カーブを描いてゴール前に迫るクロスに、PSGのDFレヴァン・クルザワが頭で触りクリアを試みた。しかし、このボールは前方ではなく上に飛んでしまい、地面にバウンドする。この瞬間リオネル・メッシが再度クリアしようとしたマルコ・ヴェッラッティを体を張ってブロックしていたことでPSGの守備に迷いが生じた。
PSGのゴールを守っていたケビン・トラップは、本来守備範囲の広いGKでサイドからのクロスに対しても積極的なアプローチを見せる。だが、ラフィーニャのクロスから生じた混乱の中では味方の選手たちがゴールの目の前に殺到しており、飛び出しづらい状況になっていた。
クルザワが処理しきれなかったボールをカバーしようとしたヴェッラッティはメッシに阻まれ、宙に浮いたところ、最初に反応したのはバルセロナのルイス・スアレスだった。ウルグアイ出身の野性的なストライカーはGKとの衝突を恐れずジャンプし、反撃ののろしとなる先制点を奪っている。
GKトラップはボールに対して跳ぶのが一瞬遅れてしまった。スアレスの反応が速すぎたのも原因の一つではあるが、味方の最終ラインがゴール前に下がりすぎて飛び出すスペースがなくなり、コンマ数秒躊躇してしまったと考えられる。
PSGのウナイ・エメリ監督は、1stレグで4点のリードを手にしてアウェイでの2ndレグは序盤から自陣に引いて中央のスペースを徹底して消し、バルセロナのパスワークを寸断しようとした。その結果、猛烈な勢いで前線からプレッシャーをかけてくる相手に押されて最終ラインが下がりすぎてしまったことが開始3分の失点の原因のひとつになった。
早々に1点返したことによって逆転の希望を見出したバルサは、結果的にPSGから6ゴールを奪ってベスト8へ駒を進めた。些細なミスの重なりが勝敗を左右し、さらに歴史的な偉業の一部になったと言えるかもしれない。
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