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レアルの“えげつなさ”。豪華スター共演の裏にある指揮官ジダンの塩梅【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

レアルの監督らしいジダン采配

レアル・マドリーのジネディーヌ・ジダン監督
レアル・マドリーのジネディーヌ・ジダン監督【写真:Getty Images】

 66分、レアルのハイプレスをパスワークで外したナポリが、崩しきるところまで持っていく。シュートには至らなかったが、早くもBBCのハイプレスは危うくなってきた。すると68分、レアルはベイルに代えてルーカス・バスケスを投入。これで実質的に4-4-2となって、少し後方で構える守備へシフトした。

 左はマルセロが前に出るが、クロースが残る形でバランスをとる。むしろ、このメンバーと戦術で始めたほうが良かった気もするが、レアルは戦術的な要請ですべてが決まるクラブではない。BBCの先発を前提としたうえで、どうゲームを動かしていくかがジダン監督のタスクなのだろう。

 もう攻めるしかないナポリに対して、レアルはボールキープでスローダウンを図りながらダメ押しを狙う。もくろみどおりベンゼマと交代したモラタが決めて3-1とした。

 リードした後のレアルは、相手のファウルを誘うのも巧みだった。クロースが中央で背後から寄せられたときにファウルさせたプレーには唸らされる。左足のインサイドと地面の間にボールを挟んで固定するトラップ、そこへタックルが飛んでくると、挟んでいたボールを1個分だけ動かして足を蹴らせていた。

 拮抗した試合をセットプレーとゲーム運びで3-1にしてしまったのは、レアルが試合巧者だったということだろう。豪華スターの共演でファンを喜ばせながら、いざとなればえげつない手も使う。その塩梅を間違えない手腕が監督には求められている。もちろんタイトルを獲れなければクビだが、現実的すぎてもクビ。今のところジダンは上手くやっている。

(文:西部謙司)

【了】

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