香川は81分から出場。この流れに乗り遅れてしまったのか?
ベンフィカとの2ndレグで見えたのは、言わば今季の完成形だった。昨季が終わるとフンメルス、ギュンドアン、ミキタリヤンの3選手が抜けて、多くの新戦力が加入したドルトムント。ウインターブレイクに入るまで、前半戦はなかなかチームとしての戦いが安定しなかった。だが、2月が終わり3月に入る頃から、昨季の主力3選手が抜けた穴を感じさせない戦いを始めている。
デンベレ、ゲレイロ、バルトラの3選手はチームにすっかり順応した。特にデンベレは、爆発的なスピードで相手を翻弄するだけでなく、“10番”としてトップ下でも猛威を振るっている。来季には、ギュンドアンとミキタリヤンを足して“2で割らないような”選手に進化しているかもしれない。
こうして新戦力が“融合”したドルトムントは、攻守において澱みがない。プレッシング、ゲーゲンプレッシングの基本原則をなぞりながら、安定したボール・ポゼッションを実現して、電撃的なカウンターで相手を混乱に陥れる。古豪ベンフィカを2戦合計4-1で退けたことで、ドルトムントはようやく今シーズンの「型」を手にいれたのだ。
ベンフィカ戦で香川真司は、81分からの途中出場となった。香川は、この完成したドルトムントの流れに乗り遅れてしまったのだろうか。
まだ過密日程が続いていること、またトゥヘルが前日会見で“代役候補”として香川の名前を口にしたことを踏まえれば、少なくとも今後ローテーションで出番は回ってきそうだ。
デンベレら新戦力、そして急速に台頭するプリシッチら若い世代とともに、改めて香川もドルトムントに“融合”していきたいところである。
(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)
【了】