副会長は本田移籍を完全否定。具体的なオファーも届かず
しかし、だからと言って勝手にことを進めることができないのがまた厳しいところだ。ミランの側には、本田をすぐ放出する意思もないようなのだ。『ラ・レプブリカ』紙の記者で移籍情報に詳しいジュリオ・カルドーネ記者はこう語った。
「現経営陣、特にガッリアーニ副会長は、本田は今シーズン終了までは出せないという構えだった。ジャコモ・ボナベントゥーラの故障などが影響し、現在のミランには選手がいないことから難色を示した」
事実アドリアーノ・ガッリアーニ副会長は、地元報道陣に対し「誰がこんな情報を流したのか知らないが、本田はこのシーズンの最後の最後まで絶対に動かない。彼は一生懸命練習している」と本田の放出を完全否定。そして「もうすでに我々と(買収を試みる)中国人資本家グループ、選手も交えてそう決めた。そして監督にも決定事項は通知してある」と、今シーズン終了までの残留は決定事項であることまで強調した。
ちなみに、今回のオファー話とはまだそこまで具体的なものでもなかったらしい。「本田とシアトル・サウンダーズとはまだ何の合意も交わされておらず、単にクラブから選手サイドに興味が示されたということだけだった」とカルドーネ記者は言う。もっとも「前向きに検討したいという意識はクラブと選手側双方にある」そうで、本田獲得に興味を示すMLSのクラブも複数存在するようだ。
それにガッリアーニの言葉が、今後も効力を発揮するかどうか微妙だ。ミランは現在、ご存知の通り経営譲渡交渉の真っ最中であり、3月3日にも新経営陣の手に渡るのではという見通しもあった。
昨年8月から中国の政府系ファンドとのつながりが深いとされる投機会社シノ・ユーロップ社が買収交渉にあたり、彼らはイタリア人マネージャーも立てて経営の準備に入っていた。つまり、もし本田サイドが契約の破棄を願い出るのなら新経営陣に交渉を持ちかけることも可能というわけだ。