ハイプレスにハマったレアル。不正確なキックで逃げた前半
まずはハイプレス。全体を高く押し上げた上で、3トップが前線から果敢にボール保持者を追い回すサッカーはこのチームの持ち味で、この試合では大いに徹底されていた。DFラインにプレスを掛けて前に繋がせないのはもちろんのこと、ルカ・モドリッチやトニ・クロースにパスが渡ればすぐ複数の選手で囲み、前後左右のパスコースを徹底的に切り続けた。
このプレスの網に、レアル・マドリーはハマった。1stレグでリードを築いていたためか、彼らはラインを慎重に下げて少ない人数で攻めるサッカーを心掛けていた印象だったが、それがパスワークの寸断に拍車を掛ける。ナポリの選手たちに追いかけられた挙句、パスコースに困った後方の選手たちは不正確なミドルキックに逃げ、相手に奪われるかタッチラインの外へ出してしまう。それも珍しい光景だった。
ともかく、そうしてボールをものにしたナポリは、左サイドにボールを集めて攻撃を図った。これが第2のポイントである。もともと今のナポリは左サイドを中心に組み立てるサッカーを展開するが、この日はレアル・マドリーのウィークポイント攻略のために自らの強みを活かした。
ウイングのギャレス・ベイルと中盤のモドリッチ、そしてサイドバックのカルバハルで結んだ三角のスペース。ここが、どういうわけかルーズになる。そしてナポリはここを起点にして素早いパスワークを展開した。
ぽっかり空いたそのサイドのゾーンにはまずロレンツォ・インシーニエが前線から落ちてきて、すぐにボールを呼び込む。するとその周りにはマレク・ハムシクやファウジ・グーラムらが走ってパス交換。レアル・マドリーの選手たちよりも常に速く、人とボールが動いた。