できる限りストレスを排除。本拠地デビューを目指す
フロントの意思は現場レベルにも徹底されている。ホセ・ルイス・マルティ監督は柴崎について尋ねられると、毎度のように「忍耐」を強調している。適応に時間がかかることを理解し、それに対してチームとしてサポートを惜しまない姿勢も見せてきた。
選手時代にマジョルカでプレーしていたことのある指揮官は、かつてのチームメイトである家長昭博と、同じ日本人である柴崎を重ねているのかもしれない。
そしてマルティ監督は、3日のミランデス戦を前にした記者会見で柴崎の復帰プロセスについて興味深い発言をした。地元メディアが一斉に伝えている。
「(復帰に)期限は設けていない。現時点ではヘタフェ戦出場も難しいだろう。忍耐がすべてだ」
ここで述べられているヘタフェ戦は、現地時間12日にアウェイで開催が予定されている。1日からチームの全体練習に合流している柴崎にとって出場自体は難しくないはずだが、マルティ監督はそれを避けた。
最大の理由はアウェイへの遠征にあるだろう。テネリフェ島はスペイン本土から約1100キロ離れており、飛行機でマドリードまで約3時間半、バルセロナまで約4時間かかる。単純に考えれば2週間に一度アウェイゲームがあるため、テネリフェはその度に過酷な移動を強いられる。指揮官としてはいきなりそのストレス下に柴崎を置きたくないと考えたのだろう。
幸いヘタフェの本拠地はマドリード近郊のため、他の地域に比べて負担は少ないが、遠方の場合は空港からさらにバスなどで移動しなければならないためテネリフェのアウェイ遠征は過酷を極める。
また、チームのスポンサーに「エア・エウロパ」という航空会社がついているのも多少影響しているだろう。同社はいわゆる格安航空会社(LCC)で、お世辞にも機内に快適な環境が整っているとはいえない。だが、テネリフェの選手たちは毎回の遠征でこの会社の便を利用していると考えるのが妥当だ。