前半にはショートカウンターが発動も、後半の攻撃は停滞
心安らぐ場所を求め、砂漠をさ迷うような心境だったのかもしれない。そして、このレフティーは「(自分が低い位置に)下がってもいいかなという感じもするんですけどね」との考えに至った。自らのプレーエリアを変え、『オアシス』を作り出そうということだろうか。
C大阪戦では、中村俊輔が相手ボランチのソウザと山口蛍からの縦パスを消すために低い位置を取った。それが奏功し、一発のパスで中央を崩されることもなかった。ただ、そうなると前線に枚数が足りず、攻撃で相手に脅威を与えられなかった。
そうした点を踏まえて、仙台戦では10番があえて高い位置を保ち、川又との距離感を意識した。開始早々の2分には、PA手前で縦パスを受けて前を向くと、最後はクロスにアダイウトンがヘディングで合わせた。
前半はショートカウンターを何度か発動し、狙ったポイントを攻め立てることができた。だが、「前線の動き出しがなくなったのと、60分前後から受けて考える選手が非常に増え、ワンタッチ、ツータッチのリズムがなくなってきた」と名波浩監督が言うように、後半途中から攻撃は停滞した。推進力を与えていたサイドバックの位置取りが低くなると、前線も単調な動きが目立った。好循環が途絶えると相手のWBを牽制できなくなり、攻め上がりを許す展開となった。
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