わからないことは躊躇なく確認。謙虚かつ意欲的な姿勢でチームに溶け込む
何があっても、大きな精神的ショックを受けることなく、「あ、こういう待遇あるよな」と流すことができれば、抱えるストレスもぐっと少なくて済む。
そして、こういった心構えを持っていることは態度にも表れる。酒井はこれまでの経験から、たとえば言葉の面などでわからない説明などがあれば躊躇なくスタッフや周りの選手に確認するという。そういった謙虚かつ意欲的な姿勢、また、外国人選手にはそれなりのハンディもある、といったことを納得していることからくる精神面での落ち着き。それが見ている者にも「こいつは大丈夫」という安心感を与える。
酒井自身は「毎日がいっぱいいっぱい」というが、その度合いは、初めて日本から飛び出してきた選手とはおそらく大幅に違うはずだ。
加えて本人の性格もある。以前リーグアンにいた松井大輔もそうだったが、口数が多いわけではなくても、なんだか周りに好かれる選手、というのがいる。見ていると酒井もそのような感じだ。
「チームメイトから好かれているのでは?」と聞くと、「日本人にはそれしかないっすから。可愛がられる、というかね……」と謙遜していたが、彼の謙虚でひたむきな姿勢は、仲間を味方につける。それはリュディ・ガルシア監督も同じで、酒井について尋ねたときの監督の話ぶりからは、なんともいえない「愛情」のようなものが伝わってきた。
チームの輪にとけこんで、素直な姿勢で監督の期待に応えようとする、そんな酒井の人柄も、このチームへの同化を促進した理由のひとつだ。