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リバプール、シンクロする前線の“四銃士”。アーセナルを切り裂いた至高の45分間

text by 舩木渉 photo by Getty Images

変幻自在のポジショニング。阿吽の呼吸でゴールに迫る

クロップ
チームにはユルゲン・クロップ監督の哲学が浸透している【写真:Getty Images】

 では、彼らの強みは何か。それは大きく分けて2つあると考える。1つ目は非常に質の高いコンビネーション、そして2つ目は攻守の連続性だ。

 毎試合の開始前、テレビ中継などでは予想フォーメーションが表示される。そこにはフィルミーノを頂点に、左にコウチーニョ、右にマネ、中盤にララーナが配置されている。だが、彼ら4人にとってフォーメーションは単なる画面上の便宜上のものにすぎず、実際には意味をなさないものとなる。

 試合が始まれば4人のポジションは流動的で、フィルミーノが中盤まで下がって組み立てに参加することもあれば、マネが最前線でストライカーのように振る舞う場面もある。状況によって流動的に立ち位置と役割を入れ替えながら相手守備陣に的を絞らせず、変幻自在の攻撃を繰り出す。

 たとえばマイボール時にフィルミーノが最前線から相手DFとMFの間のスペースに下りてボールを受ける動きをした瞬間、サイドからコウチーニョやマネが釣られて前に出たDFの裏へ鋭く走りこむ場面などは頻繁に見られる。

 アーセナル戦の先制点の場面、GKシモン・ミニョレからのロングボールを最前線にいたコウチーニョが頭で落とし、ララーナが右へはたく。そしてパスを受けたマネが速くて低いクロスをゴール前へ送り、逆サイドから詰めていたフィルミーノがゴールネットを揺らした。

 ポジションにとらわれない位置取りと流れるような連携、個々の技術の高さ、それらが噛み合っているからこそ出せるシュート性のパス…4人の良さが十二分に発揮されたゴールだった。ペナルティエリア内に4人のうち3人が入っているのも珍しいことではない。

 40分の追加点の場面では、ジョルジニオ・ワイナルドゥムやジェームズ・ミルナーといった“脇役”たちのサポートを得て、狭いスペースを正確なパスと動き出しで崩し切った。ここでフィニッシュを担ったのはマネ。どんな状況でもしっかりとゴール前に顔を出す、仲間への信頼が見てとれる。

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