強度の高いプレッシングの分岐点になる60分前後
狭いエリアでのパスワーク、縦指向、即座のプレス。この強度の高いプレーの連続にバルセロナは押し込まれた。グリーズマンのシュートをGKテア・シュテーゲンがぎりぎりで弾きだし、ガビ、コケ、グリーズマンから際どいクロスボールが放たれる。受け身になったときのバルセロナはさして強いチームではない。前半は陥落寸前だった。
フィールドの半分にバルセロナを閉じ込め、縦への展開。押し上げる勢いを利用してセカンドボールを拾っての二次攻撃。ゲームは完全にアトレティコのものだった。35分あたりでサウールとコケのポジションを入れ替えたのはシメオネ監督の指示だろう。サウールがピケに食いつきすぎていると思ったのか。
しかし、60分前後から潮目が変わる。ようやくバルセロナがボールを握り始め、アトレティコは撤退守備を余儀なくされた。
強度の高いプレッシングは60分までしか続かない。これはどの試合でもたいがいそうなのだ。例外は70パーセントもの高率のボールポゼッションを実現した場合で、それ以下なら90分間は到底もたず、60分からインテンシティは低下する。
前半はアトレティコに圧倒されていたバルセロナだが、それでもポゼッションは62パーセントあった。アトレティコの足を止める効果はそれなりにあったと考えていい。
試合がペースダウンし、ボールを散らしてポジションの拡散にも成功したバルセロナは波状攻撃からラフィーニャが先制する。
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