Aリーグの外国人枠改定。“日本人代表”として逆襲の終盤戦へ
当然ながら、Aリーグの残りのシーズンも諦めたわけではない。1月28日に話を聞いた時は、「ACLとの兼ね合いで、残りの試合をどう戦うかも変わってくる。(あと1試合ある首位シドニーFCとの)シドニー・ダービーは、もう、勝ち点とか関係なく絶対に勝てなければいけない。(ファイナル圏内に入るのが現実的な目標?)そうですね。そこは狙っていかなければいけない」と語っていた楠神。
2月に入ってから、ACLが始まる前に2勝を挙げて、勝ち点6を積み上げた。そのうちの1勝は、今季最後のシドニーダービー(2月18日)で無敗のシドニーFCに土を付ける勝利(1‐0)で、楠神はしっかりと「有言実行」を果たした。この勝ちでチームの状態にも少しずつ光明が見えてきた。
28歳で渡った初めての海外。6か月を経て、見ず知らずの土地で遮二無二戦ってきた楠神の表情は、とても引き締まって見える。短いやり取りではあったが、そこはかとない自信が言葉の端々に感じられた。
「今日、2人、セレッソサポーターで現地に住んでいるって人が来てて、こっちにピンクなんてそういないので、すぐ分かりました。やっぱ、セレッソ凄いな(笑)」と、最後に古巣のことについて語ったときには柔和な表情を見せた。
先日、Aリーグは来季からの外国人枠の規定の変更を発表した。いわゆるアジア枠を1つ付与する「4プラス1」の導入を決めた。現行のAリーグでアジア枠に該当する選手は、楠神とニューカッスル・ジェッツの中国人MFマ・レイレイ、そして2月に入ってからアデレード・ユナイテッドと契約した韓国人MFキム・ジェソンの3名。来季以降は、その「プラス1」でのアジア枠選手獲得を考慮に入れるクラブが当然ながら増えてこなければならない。
当然、今季の楠神の頑張りが、少なからず他クラブのアジア枠行使か否かの決定に影響してくることも考えられる。無用なプレッシャーをかけるつもりはないが、Aリーグの「日本人代表」、そして「アジア代表」として、楠神には残りのシーズンと一発勝負のファイナルでのでの大暴れを期待したい。
(取材・文:植松久隆【ブリスベン】)
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