鹿島でも続けたリハビリ生活。復帰に向けて見せた強い執念
現在3バックを採用するシャルケの右WBでは、オーストリア代表のアレッサンドロ・シェプフが安定したプレーを続けている。3バックに対して、少し高めの位置を取る左右のWBは、ヴァインツィールの戦術の肝でもある。自陣と敵陣のゴール前を行き来するアップダウンに加え、さらに得点に絡むプレーも求められるポジションだ。
もちろんコンディションを取り戻せば、内田に務まらないポジションではないだろう。しかし年が明けてなお、2月の終わりの段階で内田のコンディションはまだ100パーセントの状態ではない。2月27日のトレーニングには合流し、全てのメニューを問題なくこなした。6対6のミニゲームでは、ヴァインツィール監督の眼前で、左右のウイングバックのようなポジションをこなしている。
たしかに右サイドでシェプフは安定したプレーを続けている。しかし、仮に何かのアクシデントでシェプフを欠いたとき、バックアッパーがいないのも事実だ。コンディション面も含め、そういった意味でヴァインツィールはまだ内田の能力を見極めている段階と言えそうだ。
そして何より、シャルケが内田を手放そうとしなかった理由は、内田の復帰に賭ける執念そのものにあったのではないだろうか。
昨年6月の鹿島アントラーズでのリハビリを経て、7月にシャルケに戻ってきてからザルツブルクに向かうまで、誰よりも奮戦したのは他ならぬ内田だった。
バイエルン戦の1週間ほど前から、鹿島アントラーズのトレーナーとデュッセルドルフにいるトレーナーを自ら繋いだ。好感触を得た鹿島でのリハビリを、ドイツでも行うためだ。
「シャルケにも言った。俺の足は普通にやっていたら治らないから、デュッセルドルフに住んでいる日本人のトレーナーをリハビリ施設に入れていいかって。オッケーをもらったから、たまに来てもらっている」