ドイツの契約事情。金銭面でクラブに負担をかけず
しかし言葉尻を捉えてしまえば、「復帰できると思っていなかった」とは、内田の復帰を半ば諦めていたような口ぶりでもある。一方で、それから遡ること昨年9月のブンデスリーガ第2節、ホームで行われたバイエルン戦の試合の後で、内田はシャルケ首脳陣のスタンスをこう語ってくれた。
「普通、こんだけ長く怪我していたら『要らない』って言われてもおかしくないけど、まだ待っていてくれているからね、監督もGMも。本当にありがたい」
シャルケが、ドクターも匙を投げかけた困難な負傷の長引く内田を、手放そうとしなかったのはなぜなのだろうか。
1つには、契約の存在がある。内田は、シャルケとの間に18年6月30日まで契約を残している。
「ま、契約がありますからね。俺から契約解除って言わない限り、シャルケは金を払わなきゃいけないけど、ドイツは3ヶ月以上怪我したら給料が払われないからね」
ザルツブルク戦まで行かなくとも、バイエルン戦の時点で、とうに「3ヶ月以上」経っていた。まず金銭面で、シャルケに迷惑をかけてはいなかった。
また、昨夏にマインツからやってきた、新任のクリスティアン・ハイデルGMとアクセル・シュスターSDの両幹部は、内田の選手としての価値を評価していたようである。
昨年9月のバイエルン戦の時点で、同じく新しく就任したマルクス・ヴァインツィール監督には、内田から「1回、初めましてって言ったくらい」で、両者はほとんど会わず話してもいなかった。内田が主にリハビリ施設で過ごしていたからである。ハイデルGMについて、内田は「試合を見ている時に握手してくれる」と語った。