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内田篤人 8年前

それでも内田篤人が必要とされる理由。シャルケを感服させた639日間の執念【海外組の真価~日本人選手の現在地】

これまで日本代表をけん引してきた選手たちが所属クラブで出場機会を失い、踊り場にあるように思える日本サッカー。いま改めて海外組の現在地を探っていきたい。今回取り上げるのは、シャルケの内田篤人。長い負傷離脱から昨年12月に公式戦復帰を果たすまで実に639日の歳月を要したが、なぜシャルケは内田を辛抱強く待つのだろうか? 内田自身、そしてクラブも引退を覚悟したリハビリ生活が続く中でシャルケが内田を留めたのは、ドイツの契約事情と欧州の舞台での経験値、そして復帰に向けた内田の強い執念が関係していた。(取材・文:本田千尋【デュッセルドルフ】)

text by 本田千尋 photo by Getty Images

復帰までの639日間。選手として特殊な「膝蓋靭帯の骨化」に苦しめられる日々

内田篤人
639日に及ぶ離脱期間から復帰したシャルケの内田篤人【写真:Getty Images】

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 FCシャルケ04も、半ば諦めていたのかもしれない。“復帰戦”となった昨年12月8日、ヨーロッパリーグのグループI最終戦。凍てつく寒さに覆われたRBザルツブルク戦の試合の後で、内田篤人は次のように述べている。

「シャルケのドクターにも言われたけど、『オレは復帰できると思っていなかった』と。そういう怪我と手術だったので」

 2015年3月10日、チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦の2ndレグ。アウェイのレアル・マドリー戦を最後に、内田が右膝の腱の負傷と骨化により、639日に渡ってピッチから遠ざかることになったのは周知のとおりである。

 今冬にバイエルン・ミュンヘンからシャルケにレンタル移籍してきたホルガー・バトシュトゥバーも、その選手人生の中で度重なる負傷に悩まされてきたが、最長は12/13シーズンに負った『十字靭帯断裂』による532日。もちろん重症だ。

 しかし、内田が負った『膝蓋靭帯の骨化』という特殊な症例に比べれば、サッカー選手が負う怪我としてはまだ一般的なものと言える。

 EURO2012で主力を張った元ドイツ代表CBの不屈の闘志には、感服せざるを得ない。だが、内田も引退の淵まで追い込まれながらそれと同等、もしくはそれ以上の精神で再び這い上がってきたのだ。だからシャルケのドクターは、稀な症状であることも踏まえて「復帰できると思っていなかった」と、驚嘆と畏敬の念を込めてそう漏らしたのだろう。

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