「クライフの方法論」から読むドルトムントの“主軸”
もちろん今季も終盤が近づいていることを考えれば、悠長に構えてはいられないのだが、現在の香川は一時の停滞期を脱して、心身ともにポジティブな状態にあると言えるだろう。
かと言って、本来スタメンの選手が、コンディションの問題で一時的にベンチに回っている状況、とも言い切れない。
かつての“永遠の背番号14”ヨハン・クライフは監督時代、チームを形作るために、まず核になる選手を決めるところから始めたのだそうだ。チームの善し悪しを決めるのは、最初に選ぶ5人か6人の選手。残りのメンバーの役割は最初に選ばれた選手たちを活かす、または足りない部分を補いサポートすることになる。レギュラーの11人を選ぶことよりも、6、7番目の選手を決めることに時間を掛けたという。
ドルトムントのトーマス・トゥヘル監督は、現在マンチェスター・シティを率いるペップ・グアルディオラ監督を敬愛しているが、ペップも元を辿ればクライフに行き着く。クライフの方法論を参考にすると、トゥヘルのチーム編成法も見えて来るところがある。
最近のトゥヘルの起用法を振り返れば、最初に選ぶ5人か6人の選手はオーバメヤン、ロイス、ゲレイロ、デンベレ、バイグル、ソクラティス、ピシュチェク…の中からといったところだろうか。
そして、その主軸となる選手たちに、カストロ、シュールレ、プリシッチ、ドゥルム、ギンター、バルトラ…といった選手を加えていく。過密日程の影響もあって頻繁にローテーションを組むトゥヘルだが、クライフの方法論になぞらえてみると、一定の法則はあるようである。
頻繁に選手を入れ替えている中で主軸となる選手は決まっている、ということだ。それは単純に[レギュラー – ベンチ – ベンチ外]で分けられるものでもない。