離島にも日本の文化を感じる要素あり。これから本当の意味でも戦いへ
テネリフェ島の中心には標高3718mを誇るスペイン最高峰のテイデ山がそびえ、その周囲を取り囲むように街がある。柴崎が所属するCDテネリフェの練習場は、島最大の都市サンタ・クルスの中心からバスで30分ほどの山あいにあり、風通しがよく練習中も比較的涼しい環境だった。
年間を通して安定した気候で降水量も極めて少ないテネリフェ島。ただ夜は少し肌寒くなる。筆者の滞在時は日中の気温が20度を超えたものの、夜の体感温度は10度前後だった。
また、ヨーロッパではリゾート地として有名なため観光客が多く、スペイン本土の地方都市などに比べて英語が通じる割合が高いと感じた。サンタ・クルスの街を歩いていると地元スペイン料理だけでなくイタリア料理や中華料理などの店も見かけ、いくつか日本料理店もあるという。
スーパーマーケットには少量かつ高額ながら醤油などの調味料も置かれていた。日本で見かけるようなパックに入った寿司も売られていた。そういった生活情報も手に入れられれば、不安視されていた食事面の問題も徐々にクリアされるだろう。少ないながらテネリフェ島に住む日本人もおり、そういった人々の助けを積極的に借りていくべきではないだろうか。
練習場でのトレーニングを再開した柴崎の周囲にはポジティブな雰囲気が漂っており、本格復帰に向けて悲観的な要素はない。徐々にではあるが着実に正しい道を歩んでいる。実際に現地で柴崎の様子を見て、ここ数週間の胃腸炎や不安障害などを指摘する報道は少しいきすぎだったのではないかとも感じた。
これからはピッチの上で実力を示すための準備と、本当の意味での戦いになる。マルティ監督は23日の練習で主力組とサブ組を明確に分けていた。壁を一つ一つ乗り越え、まずはその主力組に割って入るところから柴崎のヨーロッパでの挑戦が始まる。
(取材・文:舩木渉【テネリフェ】)
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