コミュニケーションに不安要素。同僚も「日本語以外にしゃべれる言葉はないの?」
ともすれば、今後克服しなければならない最大の課題は周囲とのコミュニケーションということになるだろう。いつまでもスペイン語に堪能なロベルト佃氏がサポートしてくれるわけではなく、近い将来独り立ちしなければならない時がくる。
練習を終えたテネリフェのFWアンソニー・ロザーノと会話していて、「彼は素晴らしいクオリティの持ち主だね。ナイスガイだった」と柴崎の初練習の時の印象を聞くことができた。この発言からは柴崎の実力がすでにチームメイトからある程度認められていることが窺える。
しかし、ロザーノはこう問いかけてきた。
「実はガクとはまだ話したことがないんだ。彼がスペイン語も英語もしゃべれないというのは本当かい? 日本語以外にしゃべれる言葉はないのかな?」
この発言からは、柴崎がいまだチームメイトと十分にコミュニケーションをとれていないことがわかる。もちろん長期間練習に参加していないことが主な要因だが、スペインのサッカーに馴染むにはプレー面だけでなく人間としての価値も主張していかなければならず、今後に向けた柴崎の課題と言えるだろう。
ただクラブは柴崎に対して全面的なサポートを表明し、『マルカ』紙などの報道によればホセ・ルイス・マルティ監督も「適応には時間が必要。100%の状態に戻るまで忍耐強く待たなければならない。我々は人間で、新たな環境に体がどんな反応を示すかなんてわかるはずがない。彼を毎日サポートしなければ」と辛抱強く復帰を待つ姿勢を見せていた。
同僚のアルベルト・ヒメネスも「遠くから来たのだから適応が難しいのは仕方ない。彼が戻ってきてくれてみんな本当に嬉しく思っているよ。全員が何があろうと彼のことをサポートしようとしている」と、柴崎をチーム全体で支えることを約束している。もちろんロザーノのように柴崎とのコミュニケーションを心待ちにする選手も多い。