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原口元気、欧州トップ仕様への進化。他競技に学んだフィジカル論とメンタルの確かな成長【海外組の真価~日本人選手の現在地】

これまで日本代表をけん引してきた選手たちが所属クラブで出場機会を失い、踊り場にあるように思える日本サッカー。いま改めて海外組の現在地を探っていきたい。今回取り上げるのは、原口元気。所属するヘルタ・ベルリンでは主力としてプレーし、日本代表でも最終予選で4試合連続ゴールを奪うなど欠かせない存在となっている。しかし、ヘルタ移籍後すぐに活躍したわけではなかった。ドイツでフィジカル面、メンタル面を鍛え上げるなど地道な努力を積み上げたことが現在の活躍に繋がっている。(取材・文:元川悦子【ベルリン】)

text by 元川悦子 photo by Getty Images , Etsuko Motokawa

ヘルタ、王者バイエルンを追い詰めるも…原口の交代直後に痛恨の失点でドロー

原口元気
ヘルタ・ベルリンの原口元気【写真:Getty Images】

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「バイエルンはCL(チャンピオンズリーグ)があるし、中2日でヘルタ(・ベルリン)との試合を迎えるからキツイと思う。俺らは1週間空いてるからチャンスがある。前回はすごい差を見せられたけど(2016年9月の対戦で0-3の敗戦)、今回はやれるとは思います。問題は高い位置で何ができるか。バイエルンやドルトムントはプレッシャーが速いし、ボールを取られた後すぐに取り返される展開が続くので、落ち着けなくなってしまう。そこで何とか落ち着いて一番いい選択ができればいい」

 2月18日に行われるブンデスリーガ第21節のバイエルン戦を4日後に控えたヘルタの練習場で、原口元気は王者相手に勝つ気満々だった。

 昨年11月後半から出番が徐々に減り、2017年に入ってからも試合に出たり出なかったりの状況が続いたが、2月に入ってスタメンの座を奪回。「今年に入ってからは体もメンタルもフィットしてきて全然戦える感じ」と本人も絶好調を強調しており、大一番での大暴れを心に期していた。

 その思惑通り、ヘルタはドイツ王者をギリギリまで追い詰めるゲームを見せた。前半21分にヴェダド・イビセビッチが先制弾を挙げると、その後も2度3度と決定機を作る。守備面でも原口が2列目右サイドに入って1対1を作らせない献身性とハードワークを披露。後半アディショナルタイムまでヘルタが1点をリードしていた。

 ところが、パル・ダルダイ監督は終了間際に原口とファビアン・ルステンベルガーを交代。右サイドにペテル・ペカリクを配置したが、これが裏目に出た。FKを奪われ、タイムアップ寸前のロベルト・レバンドフスキの同点弾につながってしまったのだ。

「最後のシーン、分かります? 1対1になってたでしょ。サイドで」と原口はやり場のない怒りを抱えていたが、勝負に対して誰よりも凄まじい意欲を燃やすこの男なら当然の反応だ。勝ち点1はあまりに悔しすぎた。だが、ヘルタが前回対戦時より勇敢に戦えたのは間違いない。高いレベルを渇望する彼自身も大きな手応えを掴んだことだろう。

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