得点が少ない要因。フィニッシュまでの負担の大きさ
だからこそいかなる時もスタメンで起用され続けているわけだが、それは同時に大迫がゴール前の仕事に専念しにくい要因にもなっている。つまり、組み立てからフィニッシュにいたるまでの負担が大きいのだ。
特に守備的な布陣で中盤に起点が作れない時などは大迫が下がり目のポジションでボールを捌き、そこからモデストや他の飛び出す味方にラストパス、あるいは1つ前のパスを供給するシーンが多くなる。フル出場で1アシストを記録した前節のシャルケ戦はその象徴的な試合だった。
また2トップがメインの今季にあっても、サイドハーフや状況によってはトップ下やボランチを担うケースもあり、依然としてストライカーとしての本分を発揮にしにくい事情はある。
それでも少なくとも2トップで起用される試合では互いの特徴を引き出し合えるモデストとのコンビに手応えを認めており、彼の能力を認めているからこそ、しっかりとサポート役をこなしているのだろう。
モデストの得点力と大迫の万能なチャンスメークがケルンの攻撃を支えていることは間違いないが、そうした状況でもフィニッシャーとしての仕事を増やし、そこで決定力を発揮することが大迫のテーマとなっており、さらにゴールを増やす資質は十分にある。ただ、そのためにも起点になる動きからフィニッシュに入って行く形をさらに作っていきたい。
昨年10月に2020年まで契約を延長した時には「チームに居場所を見つけた」と語った大迫。彼にとって、もはやケルンは“第二のホーム”と言えるだけに、ゴールで勝利に貢献できる試合を増やしていくことでクラブをさらなる高みに導いていくことが大迫の目標だろう。
(文:河治良幸)
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