酒井高徳、HSVの主将に就任。名門残留へ監督に託された言葉
かつて3度のドイツ・ブンデスリーガ王者に輝き、82/83シーズンにはUEFAチャンピオンズカップ(現チャンピオンズリーグ)も制覇しているハンブルガーSV(HSV)。ブンデスリーガ創設時から1部の座を守り続けてきた名門だが、13/14と14/15シーズンは16位、昨季も10位と近年は下位低迷を余儀なくされている。
ブルーノ・ラッバディア監督体制でスタートした今季も序盤12試合未勝利という苦境に直面。9月に指揮官がマルクス・ギスドル監督に交代し、立て直しに打って出た。
新指揮官が採った大胆な試みの1つが、酒井高徳のキャプテン任命だった。11月18日にギスドル監督からその意向を告げられ、リーグ最年少キャプテンに就任した時の状況を、25歳の彼はこう振り返る。
「監督と話した時に言われたのは、『どんな状態でも常にしっかりやり続けるお前のような姿勢をすごく評価している。そういう人間を今、チームは必要としている』ということでした。オフィシャルの場でも『高徳はロッカールームとか普段の時はそんなに喋るタイプじゃないけど、すごく真面目でトレーニングにも真摯に向き合っている。彼が何か言葉を発する時にはみんな耳を傾ける。そんな存在だ。そういったプロフェッショナルなスタイルを持ってる選手が今、我々には必要だ』と言ってくれたと聞きました。そういうふうに見てもらえるのは自分としてもすごく嬉しいし、スポーツ選手としての価値なのかなと思います」
キャプテンマークを巻くようになってから、酒井はこれまで以上に周りに厳しい要求をするようになった。2月15日に行ったトレーニングを見ていても、紅白戦の最中に気づいたことを臆することなく周囲に次々と伝えていく。自分自身、アグレッシブに右サイドをアップダウンしながらチーム全体のことを考えて終始口を動かし続けるのは大変なことだが、「名門を2部降格の危機から救うためには何でもする」という彼の強い意志がピッチ上に色濃く表れていた。