新たな可能性が凝縮されたゴール
時間にして14秒。電光石火のカウンターを仕掛ける間に6人の選手がボールに絡み、4本のパスがつながった末に生まれたゴールに、常勝軍団に秘められた新たな可能性が凝縮されていた。
昨シーズンの二冠王者・鹿島アントラーズと、リーグ戦の年間勝ち点1位・浦和レッズが日産スタジアムで対峙したフジゼロックス・スーパーカップ2017。シーズンの幕開けを告げる恒例の一戦で圧巻のシーンが訪れたのは、アントラーズの1点リードで迎えた前半終了間際だった。
左サイドからレッズのMF菊池大介が入れたクロスを、背番号を「23」から「5」に変えたDF植田直通がジャンプ一番、弾き返す。このとき、時計の針は42分26秒をさしていた。
センターサークル内に落ちてきたボールを収めたのは、ヴィッセル神戸から加入したFWペドロ・ジュニオール。DF森脇良太のプレッシャーを背後に受けながら、ボールを後方へ確実に落とす。
浮き球のパスにあうんの呼吸で反応したのは、アルビレックス新潟から加入したMFレオ・シルバ。ジャンピングボレーを放つ体勢から、大きなスペースが広がっていた左サイドへパスを通す。
走り込んでいたのはMF土居聖真。危険を察知したMF青木拓矢が必死のスライディングを試みるも、ボールは伸ばされた右足の先をかすめて背番号「8」のもとへ。一気呵成のカウンターが発動される。
土居がドリブルでペナルティーエリア内まで侵入していく間に、FW金崎夢生が弧を描くように外側を追い抜かしていく。そして、土居から受けたパスに右足を合わせる。
ゴール右隅を狙ったシュートに、日本代表GK西川周作はまったく反応できない。ボールは右ポストに弾かれたが、フォローしてきたMF遠藤康が利き足とは逆の右足を振り抜いた。
必死に防ごうとした西川の両腕を弾いたボールが、ゴールネットを揺らしたのが42分40秒。ペナルティーエリア内のフィールドプレーヤーは、守る側のレッズが4人だったのに対して、攻める側のアントラーズが実に5人を数えていた。