3年間で翻弄された本田。個の力量にも疑問は残るが…
そして守備への貢献という部分でも他の選手で間に合うようになった。経営難に直面していたミランは、イタリア人を中心とした若手重視の方向に舵をとる。そんな若手たちは皆よく走り、勤勉に守備にも参加している。
右ウイングとして結果を出したスソは、実はこの面でも期待を裏切らなかった。守備の際には、よく戻ってサイドバックをフォローする。この上でも、本田を置く必要がなくなったのである。加えてスソを温存させるために先発出場した10節のジェノア戦などは、凡庸なパフォーマンスに終始。これもまた、評価を下げる原因となっただろう。
監督も頻繁に変わり、チームのコンセプトも定まらない。本田は、その中で翻弄された選手の一人だった。そして規律あるプレーで評価を掴んだかと思えば、チームが変わって別の物差しが必要となるという不運。もっとも、個の力量でそれらを跳ね飛ばすことができなかったという現実もまた残る。その顛末として、今の状況があるのだ。
ミランは、ここにきて各選手に疲労が蓄積している。果たしてその中で、もう一度必要とされる時は来るのか。
(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)
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