モンテッラ監督のもと戦術的に噛み合いにくく
昨季も本来のトップ下で成績を残せずに、前半戦はポジションを失う。ただそれでも、最終的にはスタメンの一角を不動のものとした。シニシャ・ミハイロビッチ監督(現トリノ)のもと、4-4-2の右サイドハーフとして戦術の安定に寄与したのだ。
そのプレゼンスは、中盤戦でのチーム成績の上昇につながった。守備をやらない選手も多いなか、黙々と攻守両面での上下動をこなす本田は必要とされる存在となっていた。
個人成績も残った。カップ戦を含めて、2ゴール7アシスト。得点が要求される10番としてはもちろん物足りないが、ゴールから離れたサイドでプレーをするMFとして考えるならそれほど悪い数字でもなかった。
本田はチームプレーに徹することで爪痕を残すことができ、定位置と継続した出場機会を得ることができた。しかし今季になり、事情が変わった。
監督が変わり、戦術が変わった。モンテッラ監督は、4-3-3にシステムをシフト。そしてビルドアップの仕方も、攻撃的な選手に求めるタスクも大きく変えた。
組み立ては中盤から前線の位置ではなく、センターバックとアンカーの位置でやる。パスワークに緩急をつけるためのゲームメイクは後方で行うのだ。そして前線の3トップと両サイドバックは攻撃時に高い位置を取り、後方の選手は彼らに素早くパスを入れて攻守を切り替える。
そして両ウイングには、高い位置に張りつつ、外から中へと仕掛ける動きでゴールを脅かすことが求められることとなった。こうなると、エリア内の密集に仕掛ける敏捷性と強引さに欠け、プレースタイルも遅攻寄りの本田は、戦術的にも噛み合いにくくなった。