チアゴ・シウバ欠場も代役の21歳DFが躍動
しかしマテュイディとラビオの貢献度も大きかった。上の統計では一見ネガティブな要素にも思えるが、マテュイディに任されている仕事は、相手からボールを奪い取って素早く近くの味方にさばくことあり、ヴェッラッティのように、攻撃の起点となることではない。自慢の体力をフル稼働させて、マテュイディはこの地味な作業を懸命にこなした。
活力あふれるプレーが売りのラビオもしかり。彼は相手からボールを奪うと、意気揚々と前線に上がって最後のパスチョイスに失敗してチャンスを潰す、というダメパターンがちょくちょく出るのが欠点だが、この試合ではエメリ監督が特に徹底したのか、ある高さまで持ち上がったら必ず攻撃陣にボールを預けていた。
まるで「僕が持ち上がれるのはこのラインまで」という見えない線でも引かれているかのように。このおかげで欠点は出ずに良い面だけが活きた。
彼らが中盤を支配した結果、バルセロナはボール支配率ではPSGのそれを上回ったにもかかわらず、まったく自分たちの思惑どおりにゲームを展開することができなかった。
1週前のリール戦でふくらはぎを痛めてこの試合を欠場した主将チアゴ・シウバの穴を埋めた21歳のセンターバック、キンペンベも、初CL出場がバルセロナ戦、というテンションの高い状況をものともせず、スピードと瞬発力をフルに生かしてバルサの攻撃陣を苦しめた。
不安要素だったシウバの不在は、「逆にメンタルの弱いシウバがいなくて良かったかもしれない」などと言われているほどだ。
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