傑出したパフォーマンスを披露したヴェッラッティ
そしてカバーニは、もとよりトップで踏ん張る“王様ストライカー”ではなく身を粉にしてディフェンスにも貢献するタイプだ。
単純に攻撃の能力だけ見ればMSNの方がCDDより勝るだろうが、守備貢献などを含めたチームプレーへの寄与を考慮するならCDDの価値は相当高い。
それに、スアレスがボールを持って前を向けば必ず紺色のシャツが目の前をふさいでいる、といった徹底マークの状態にあったこの試合、MSNのシュート数は、メッシがブロックされたショット1本、ネイマールが枠外2本の計3本のみに対してCDDの3人はゴール4本も含めて計10本と圧勝だった。
中盤での勝負も、PSG勢に軍配が上がる。中でも圧巻だったのはヴェッラッティだ。レキップ紙に面白い統計があった。
この試合でチームナンバー1のパス数を記録したのはマテュイディだったが、彼は後方へのパスも多く、前方をプラス、後方をマイナスとして全部のパスで稼いだ距離を計算すると、マテュイディの場合は1回のパスの平均がほぼ0m、という数字になった。
ところが、パス総数では劣るヴェッラッティは、ほとんどのパスを攻撃方向へ出していて、1回のパスにつき6m以上押し上げるという驚異的な数字だった。ドラクスラーの得点をアシストした場面でも、右サイドで彼がフリーになるのを一瞬で見極めて正確なパスを送っている。ヴェッラッティの優れたビジョンはPSGにとって強力な武器だ。
昨年、準々決勝のマンチェスター・シティ戦で両レグとも勝利を逃したときも、彼の不在の影響は計り知れなかった。
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