「セレッソはタイトルを獲らないといけないチーム」(清武弘嗣)
育成組織から生え抜きの山口、大分トリニータから加入して2年半プレーした清武の復帰はそれぞれイレギュラーではあったが、異国の地で困難に直面しているなかで、愛してやまない古巣への復帰を熱望している彼らの思いを無視することはできなかった。玉田社長が振り返る。
「(柿谷)曜一朗のときは『戻れるならばウチへ』と話を進めていましたが、(山口)蛍が半年でとか、清武がこのタイミングで、というのはまったく頭になかった。本当に予想外。移籍していった選手のなかでは、乾が一番早く戻って来られるのかなと思っていたくらいですから。
セレッソはしょせん仲良しグループで甘い、というご指摘をよくいただきます。仲が良いのは事実ですけど、イコール、甘いとか甘やかされているということではないと思う。チームとして戦うなかで仲の良さがプラスに働いたこともあるだろうし、曜一朗や蛍、そして清武が海外で味わってきた厳しさを持ち込んでくれるという意味で、さらにプラスになると思っています」
1995シーズンに初めてJリーグ昇格を果たして以来、セレッソはタイトルを獲得したことがない。柿谷やロンドン五輪代表のFW杉本健勇を前線に擁する攻撃陣を、さらに活性化させる役割を担う清武は、こんな意気込みを口にしている。
「セレッソはタイトルを獲らないといけないチーム。何かタイトルを獲れるように頑張りたい」
J1に残留するだけでは到底満足できない。厳格な指導で知られる尹晶煥新監督のもと、記録と記憶に残る結果を求める新生セレッソは、情に厚いフロントの不退転の覚悟と選手たちが抱く感謝の思いを車の両輪として、力強く、真っすぐ進んでいく。(金額は推定)
(取材・文:藤江直人)
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