気合いを入れる必要性。クラブライセンスの発行問題
ハリルジャパンでもトップ下のレギュラーをつかみつつある清武の加入は、営業面にもプラスに働くだろう。観客増に伴う入場料収入のアップや、十の位と一の位を足して「10」になる「46番」をつけた清武のユニフォームの売り上げ増が期待されるが、玉田社長は「そんなに甘くないですよ」と気を引き締める。
「現状のままいけば、と仮定すれば、2017年度は単年度の赤字になると思います。それほど厳しいと思っています。だから、相当の気合いを入れて頑張らないかんですよね」
昨シーズンは開幕前にFW柿谷曜一朗をバーゼル(スイス)から、夏場にはMF山口蛍(ハノーファー)をそれぞれ完全移籍で復帰させた。特にわずか半年間で出戻る形となった山口のケースは、当初は想定していなかったという。
必然的にチーム人件費もかさんだが、玉田社長によれば「2016年度は何とか少しのプラスになると思っています」と今年度決算の見通しを語る。一方でJリーグから開示されている2015年度の経営情報では、セレッソの純資産は1億1000万円となっている。
この数字が何を意味するのか。2016年度で上積みされるとはいえ、2017年度で多額の赤字を計上すれば債務超過状態に陥るおそれもあるし、すでに清武の違約金という支出がある。そうなれば、クラブライセンスの発行問題も絡んでくる。玉田社長が「相当の気合い」と言及した理由がここにある。
「ウチはあまり利益を出せるクラブではなかったんですけど、そこは何としてでも自立していかなければいけないと思っています」
清武はまだクラブ間の交渉が行われていた先月31日にスペインを後にして、ドイツ経由で2月2日に羽田空港へ帰国した。機上の人となっている間に交渉が合意に達したことに、4年半ぶりに復帰したセレッソへの感謝の思いを口にせずにはいられなかった。
「不安はあったし、ドキドキしてもいたけど、セレッソがすべてを出してやってくれているとも思っていたので、少し安心している自分がいたのも本音です」