「泥臭い点取り屋」が「華麗な点取り屋」へ
清水を離れてからの足掛け5年間で、岡崎はサイドでのプレー経験によってもともと得意だった裏への飛び出しに磨きをかけ、さらにマインツでの1トップで相手を背負いながらフィニッシュまで持っていく力強さを身につけた。苦手だった両足でのゴールもスムーズに決められるようになり、点取り屋としての存在感を高めていった。
日本代表でも2014年ブラジルワールドカップ・コロンビア戦の意地のゴール、2014年11月のオーストラリア戦(大阪・長居)で右足インサイドのヒールなど多彩な得点を挙げられるようになった。
このオーストラリア戦の一撃は、南アで定位置を奪われた同い年の本田圭佑(ミラン)に「あんなに下手やったやつがみなさんの期待に続けて得点を取り続けて、並大抵の努力じゃなかったと思うし、ストライカーとしての気質というか、エゴイスト的なものもどんどん磨かれてるなという印象ですね」と言わしめるほどのインパクトを残した。「泥臭い点取り屋」が「華麗な点取り屋」へと変化しつつあったのは間違いない。
その進化形と言えるのが、2015年夏に移籍したレスターでの一挙手一投足だ。レスターでは傑出した点取り屋であるジェイミー・ヴァーディーと2トップを組み、彼を輝かせる黒子としての役割を担ったが、ストライカーの意地とプライドは失わなかった。
「(クラウディオ・ラニエリ)監督に会った時にも『お前はレスターでは守備の人間だ』と言われましたし、いろんな役割があると思いますけど、自分が求めてるものはゴール。点を取って監督に『どうだ』って言えるようなくらいのものを見せたいという気持ちがすごく強いです」と岡崎は言い切り、屈強な肉体作りや走力アップなど、フィジカル強化にも務めた。
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