スイス、オーストリアでも放映権なし。日本で初の国内リーグ放送へ
Perform Groupが、先述の競争入札においてハイライト(Highlight-Clips)以外のパッケージ、例えばブンデスリーガ放映のライブ利用の権利に興味を持って入札を行ったかどうかは、定かではない。DFLの広報担当者に問い合わせたところ、入札の情報を開示することはできない、との回答を得た。また同様にPerform Group本社に問い合わせたが、回答期限までに返答はなかった。
いずれにせよ、ドイツ国内では向こう4シーズンに渡って、これまでどおりブンデスリーガは主に『Sky』が放送することになる。また、ドイツだけでなく、スイス、オーストリアでも同様に、現段階でDAZNは国内リーグの放映権を取得してはいない。
オーストリア・ブンデスリーガの放映権契約は、2016年8月の時点で残り2年間。有料衛星『Sky Sport Austria』と、公共放送『ORF』がライブで中継を行っている。スイス・スーパーリーグの放映権については、17/18シーズンから20/21シーズンまで、ベルン近郊に本拠地を置く電気通信事業者の『Swisscom』が取得している。
以上のことを踏まえると、DAZNが極東の日本でJリーグ、つまり国内リーグの放映権を取得したことは、Perform Groupにとっても、意欲的で先鋭的な取り組みなのだろう。
革新性を伴う変化には、アレルギー反応がつきものだ。しかし2100億円を投じるDAZNの“決断”が、スポーツ観戦の新たな地平を切り拓き、Jリーグの飛躍的な発展に繋がることを願って止まない。
今では、放映権料の額と分配の方法が、その国のサッカーの未来を左右する時代なのだ。
(取材・文:本田千尋【デュッセルドルフ】)
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