決勝点のベンフィカFW「それがCLの心得だ」
しかし、先制点を奪ったのは、ベンフィカだった。
48分、ピッツィが右のCKを蹴る。ルイゾンがヘディング。そのボールをミトログルーが左足でつっかけるようにしてトラップして、そのまま押し込んだ。
「オレたちにチャンスはそんなに多くはなかった。だが、その中の1つをモノにしたんだ」(ミトログルー)
数多くのチャンスを作り出しながらゴールを決めきれず、逆に先制点を奪われたことで、流れはベンフィカに傾いていった。
57分にはPKのチャンスをオーバメヤンが決めきれず、エースは62分にシュールレと途中交代になった。ドルトムントの勢いは弱まっていく。引いたベンフィカの老練な守備を崩せない。84分にはプリシッチのミドルシュートがラウル・ヒメネスの右足に当たってコースが絶妙に変わったにもかかわらず、GKエデルソンのスーパーセーブで防がれてしまう。“ツキ”にも見放されていた。
試合は0-1のまま終わり、ドルトムントはベンフィカとの1stレグを落とした。
ベンフィカ戦で出番のなかった香川真司は「いくら前半にいい試合をしていても、ワンチャンスを決められたら意味がない」と振り返る。
決勝点を決めた殊勲のミトログルーは「最初のチャンスはモノにしなければならない。それがチャンピオンズリーグの心得だ」と言葉を残した。
最初のチャンスをモノにするかどうか。それは2ndレグでも分水嶺となりそうだ。
(取材・文:本田千尋【リスボン】)
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