“羅針盤”なきドルトムントに必要なもの
62分にはシドネイ・サムのスルーパスで悠々と右サイドを崩されて、アントニオ・チョラクに決勝点を奪われてしまう。70分にはロングボール一発で弛緩したディフェンスラインの裏を取られ、立て続けにシュートを3本も打たれる猛攻を食らった。
クロスバーに助けられ、ビュルキのセーブ、さらに戻ったギンターのクリアで凌いだが、本来であれば、ドルトムントが最下位のチームに浴びせるべき波状攻撃だ。
そしてチームが“羅針盤”を持たないのでは、ウスマヌ・デンベレ、香川、アンドレ・シュールレの交代策も機能するのは難しい。ダルムシュタット戦でのドルトムントはゲレイロの先制弾を除いてインパクトを残せなかったが、それ以前にまずは「チームとして徹底した形」が必要になる。
“挑戦者体質”で挑んだゲームの結果が示すように、ドルトムントにポテンシャルがあるのは間違いないところだ。
香川は言う。
「チームとしてもっともっと戦えれば、もっとこのチームはひとりひとりの個人の能力を自然と出せるんじゃないかと思います」
シーズンを折り返して、なおチーム作りに悪戦苦闘中のドルトムント。不安を抱えたまま、ベンフィカと戦うためにイベリア半島の西端へ向かう。
(取材・文:本田千尋【ダルムシュタット】)
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