ポテンシャルを示した若手選手。競争のフェーズへ
トップ下でプレーしたルーキーの針谷岳晃も随所に光るモノを見せた。中盤の低い位置でのゲームメイクや相手の嫌なところに走り込む動きで攻撃を活性化。22分にはクロスを右足で合わせるなど、神出鬼没な動きでチャンスを作った。相手に潰される場面もあったが、名波監督が「俺の18歳の頃より上手い」と絶賛するMFはポテンシャルの高さを発揮した。
試合には勝利したが、小川航基は誰よりも悔しそうな表情を浮かべていた。強烈なシュートや打点の高いヘディングシュートを放ったものの、肝心の得点を奪うことはできず。「物足りない」と肩を落とした。
しかし、CFとして確実に進化している。DFを背負いながら正確なポストプレーでゴールを演出したシーンは力強さだけでなく、相手の圧力をうまく吸収できていた
その点について問うと、自身も手応えを感じているようだった。
「新チームが始動してからキャンプでもそうですけど、腕の使い方とか色々考えて取り組んできた。CBの(森下)俊さんから『体の使い方が良くなった』と言われたので、そういう部分では成果が出ているんじゃないかなと」
今シーズンの磐田は、絶対的ストライカーの得点力に依存する状態からの脱却を目指している。CFにゴールが求められるのは言うまでもないが、味方の動きを見逃さず活かすようなプレーもしなければならない。その意味で、チームで奪った得点に小川航が関与できたことには価値がある。
若手の躍動はチームにポジティブな影響をもたらす。名波監督体制になってから初めて、本当の意味での競争がスタートしているが、フレッシュな戦力の台頭は各ポジションの争いを一層激しくさせるはずだ。
(取材・文:青木務)
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