俊輔がいないゲームでどう戦うか
指揮官の言葉通り、スピードアップできる場面をこの日のチームは何度か逃した。序盤はサイドチェンジも少なく、太田吉彰は声を張り上げながら要求したが、フリーで右サイドをランニングする背番号9になかなかボールが届かなかった。
例えば5日の熊本戦はピッチを広く使った攻撃で先制点を奪っている。中村俊輔が左から右へ展開すると、太田を経由し櫻内渚のピンポイントクロスに川又堅碁が頭で決めた。
中村俊輔の視野の広さ、キックの質はもちろんトップクラスだが、他の選手も成長していかなければならない。コンディションに問題がなければ、トップ下は新10番の定位置となるが、フル稼働できるかはわからない。チームの中心となるべき選手だが、彼がピッチに立てない時の戦い方も整備しておきたい。
サイドを起点とした縦に速い攻撃は磐田の持ち味のため、北九州戦で見られたカウンターの質の悪さは放置してはいけないだろう。
「テレビが入ったり、プレーシーズン中に準公式戦のような試合があると、選手にとってはアピールになるし、刺激になる。そういう場があるのはいいこと」
中村俊輔はニューイヤーカップの意義を指摘する。各チームとも調整の意味合いが濃いが、大会として銘打ち人々の注目が集まれば、選手たちにはそういう環境の中で何ができるか試される。
北九州戦では、刺激を受けた若手が躍動した。決勝ゴールを奪ったのが、大卒2年目の荒木大吾だ。得点という収穫を得たが、本人は「守備の面での予測とかはまだまだ全然。45点くらいかな」と話す。自己採点は厳しかったが、サイドからのドリブル突破が魅力のアタッカーは中央でのプレーにも自信を深めている。
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