不均衡をもたらしたのはボスマン判決なのか
レンドイロは、ボスマン判決以降にロッカールームの在り方が崩壊してしまったことを認める。
「ロッカールームでは未知の状況が生み出された。文化、宗教、言語、国籍が入り混じったことでね」
一方、デポルティボでそれを体感した監督の一人であるハビエル・イルレタは、少なくともスペイン人のゴールキーパーを獲得するようレンドイロに求めたことを、皮肉交じりに告白している。「農場のキーパーでもいいから、理解し合える人がほしかったさ」
いずれにしても、ルールは定められれば利用するものであり、それによってデポルティボは誰もが知っている輝かしい結果を手にしたのだった。
「そういう状況となり、抜け目のないクラブがすかさず動き出したわけだ。ビッグクラブも、我々デポルのようなスモールクラブもね。我々はその頃にリーガで優勝を果たす基盤を構築したんだよ」
レンドイロは、そう振り返った。
概括的な想定においては、フットボールに少しの金持ちクラブと多くの極貧クラブという不均衡をもたらしたのは、ボスマン判決であったとされる。その理由は契約切れを起こした選手、下部組織の若手の売却という、スモールクラブの重要な収入源がなくなったためだ。しかしペトンはそう考えることなく、同時期に出現したもう一つの事柄を指摘する。
「思うに、それは逆だ。テレビ放映権収入が大袈裟な格差を生み出し、物価を引き上げてしまった……。ビッグクラブはその前から最高の選手たちを引き入れていたよ」
またレンドイロは同じ論調ながらも、それとは異なる要因を挙げる。
「一つにはテレビ放映権収入があるが、それよりもその比類なきマーケティング収入によって、バルサとマドリーが世界最高の2クラブになってしまったことが要因だろう。テレビ放映権収入の差は1億ユーロにもなるが、マーケティング収入の差は4~5倍とさらに開いている。それこそが、今現在の大きな溝を生み出しているものだ」