敗戦から感じた自信と課題
1つは、攻撃面でのクオリティだ。
「(ボールを)取ったときの、僕も含めてなんだけど、取ったときの判断とか慌てないとか、カウンターに入るときのクオリティ。意外に(パスが)出ちゃえばやれないことはないんだけど、どう出すかとか、逆に一個止めて周りを見るとか、慌てないこと。そういうところが少し欲しいですね」
ヘルタは、ドルトムントが手の届くところにいることに少し戸惑ったのかもしれない。原口が「ヘルタとしては120分間やることをやった」と振り返るように、選手たちに手を抜いたところはない。端的に言えば、勝ち慣れていない、ということになる。巨大な黄色い壁がいつもより低く感じるのは、本当に錯覚ではないのだろうか。ちょっとした戸惑いが、思い切りの良さを奪う。
もちろん、そもそもの攻撃面のクオリティを改善していく必要はある。「監督から色々(攻撃面の)アイディアはもらっていますけど、選手がそれを表現できてないというのは現状ですよね」(原口)
それでも今回のPKにまで持ち込んだ“かつての巨大な敵”との対戦では、ヘルタの中で自信が芽生えたに違いない。
悔しさを糧にその芽を上手く育てることができれば、ヨーロッパの大会の本戦も見えてくるはずだ。
(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)
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