数的不利解消でボール支配を目指したルイス・エンリケ
序盤のレオ・メッシの存在はぼんやりとしていたが、その姿をくっきり現すと、これまでの試合展開をすべて無意味なものとしてしまった。43分にバルサの先制点を導いたプレーはじつにクラシカルで、そのボールが吸い付くドリブルによって、シュートを打てる場所までアトレティコの守備陣を後ずさりさせた。
そうして放たれた強烈なグラウンダーのシュートはモジャが弾いたものの、プレーを止めなかったルイス・スアレスがこぼれ球を押し込んだ。これこそがフットボール。これこそがメッシである。
先制したバルセロナだが、57分にはS・ロベルトが退場して戦術の変更を余儀なくされる。L・エンリケはメッシ&L・スアレスの2トップを取り除くことを嫌い、D・スアレスをマスチェラーノに代えてサイドバックを補充。システムを1-4-3-2としたが、中盤のラキティッチ、A・ゴメス、A・トゥランの3選手は中央に寄り過ぎ、バランスは悪かった。
一方のアトレティコはグリーズマンの正当なゴールが取り消されたが、もしスコアを動かしていたら試合の行方はまた異なるものになっていただろう。そして、こちらはカラスコが子供じみたファウルによって退場となって、10人対10人の戦いに。その後L・エンリケは数的不利が解消したことでブスケッツ&イニエスタを投入でき、ボールを支配することを目指せたのである。
(取材・文:エンリケ・オルテゴ【スペイン】、翻訳・構成:江間慎一郎)
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