基本手段であるボールを欠いたバルセロナ
そう、キックオフからの30分間は、アトレティコの狙い通りに事が運んだ。前線ではフェルナンド・トーレスがピケ、グリーズマンがウンティティ、中盤ではサウールがアンドレ・ゴメス、ガイタンがラキティッチ、コケがデニス・スアレス、サイドではフィリペ・ルイス、フアンフランがそれぞれセルジ・ロベルト、ジョルディ・アルバにプレスをかけて、バルセロナを窒息させた。
バルセロナのゴールキック時にその圧力は一層強まったが、その狙いは彼らのショートパスによる展開を阻止し、ピッチ中央を使わせないことにあった。
負傷から復帰したばかりのブスケッツ、イニエスタをベンチスタートとしたバルセロナは、そのプレーの基本手段となるボールを欠いていた。30分を過ぎるまでは相手陣地で攻撃を展開できなかったが、カンプ・ノウという舞台においてはじつに珍しいことである。
ただルイス・エンリケが、リードを得ている状況でリスクを冒すことを嫌ったのは明らかだった。それは負傷明けのブスケッツ&イニエスタを先発させなかったことや、出場停止のネイマールの代わりにアルダ・トゥランを起用して、そのシステムを普段の1-4-3-3から1-4-4-2に変更したことからもうかがい知れる。この日のチームには相手の出方を待ち、なおかつ主導権を与えてしまおうという意図が感じられた。