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ボスマン判決の当事者が語る、現代サッカーの移籍制度。選手たちの解放と自身の破滅【特集:ボスマン判決、20年後の風景】

シリーズ:ボスマン判決、20年後の風景 text by アルベルト・フェルナンデス photo by Gabriela Hengeveld, Getty Images

フットボール界では恥ずべきことが横行している

――市場で巨大な金額が動いていることについて話せば、それを促進させた一因はあなたの判決にあります。

B 問題は多数の有名な選手、代理人、また投資ファンドが、フットボールにおけるパイを確保するためにクラブと結託していることにある。恥ずべきことが横行する世界だ。

――インタビューを締めくくりますが、今もフットボールを見ますか?

B ときどきね。

――今なお、熱を入れているのでしょうか?

B そこまでじゃない。気晴らしとして、何かしらの大会の決勝やベルギー代表の試合を見る程度だ。今の代表には、偉大なリーグでプレーする若手たちがいる。しかしフットボールを熱心に追いかけているわけではない。そういった行動は、もう過去の一部だよ。

――あなたのプレーを間近で見られなかった人たちのために聞きますが、現役時代のあなたはどのような選手と比較することができますか?

B エンツォ・シーフォだ。スタンダールでは将来を嘱望され、彼と比較されていた。

――好きな現役の選手はいますか?

B 全員好きだよ。私はすべての選手のために争ったんだ。反対に、彼らは私のことをもっと知らなければならないだろう。過去が忘れ去られてしまわないように。

――今後のあなたは、どうあるのでしょうか?

B 分かるもんか。明日、階段から転げ落ちて死ぬかもしれない。ただただ、子供たちから喜びを享受していたい。

――お子さんたちが、フットボールの選手になることを望んでいますか?

B ボールは与えているし、楽しんでくれたら何よりだ。しかし今日のフットボールのことを思えば、勉強に励んでくれた方がずっと良い……。選手たちは3日毎に試合を戦い、前よりも走らなければならず、どうしてそうするのかが問いかけられている。私の子供たちが悪巧みの犠牲者になるなんて、目にしたくもない。

(取材・文:アルベルト・フェルナンデス【ベルギー】、翻訳:江間慎一郎)

【了】

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