新たなボスマン判決が必要。だが、そんなことは起こらない
――金について話せば、裁判に関わった組織から、訴えを取り下げるよう提案されなかったのですか?
B いや、そんな提案はなかった。
――裁判中、金にまつわる申し出は何もなかった?
B 裁判に勝ち、弁護士の一人にFIFAに連れて行かれるまでは、さらに2年間を要したね。彼には「ほら、ジャン=マルク、ここにブラッターからの申し出がある。今、31万ユーロを受け取るか、そうでなければ、もっと待つかだ」と言われたよ。
私は疲弊していたし、それを受け入れることを望んだ。けれどもFIFAにとって、そんな額が一体何だっていうんだ? 本来ならばリエージュの軽罪裁判所に戻って、受けた被害や損害についての請求をしなければならなかった。しかし弁護士は手を打つことを勧め、それに従うことにした。私は疲れ果てていたし、早く終わらせたかった。もう、うんざりだったんだよ。
――噂によると、UEFAは裁判を止めるために、あなたに200万ドイツマルクを支払うことを申し出たとされます。実際にそのようなことがあったのでしょうか?
B 気にかけることなどなかったし、弁護士は同じだけの差額を持っていったよ(笑)。弁護士が言っていたのは、もし彼らが訴訟の取り止めを望んでも、250万以下の額で討議はしないということだった。それに欧州の正義が、我々にあることだって理解していた。
――ボスマンという人間が、フットボールの歴史を変えた一人に名を連ねるべきだと思いますか?
B あの判決は、この世界で起こった重要な出来事の一つだ。勝訴したのだから、より良い褒賞があって然るべきだった。しかし、今のフットボールが商品やビジネスであることは明らかで、そこでは各人が火中の栗を拾おうとしている。
後退する気配のない、このシステムに立ち向かうのは難しい。ここ数年はポジティブな発展などないように見えるし、新たなボスマン判決も必要とされているはずだ。とはいえ、そんなことが起こるはずもない。
――なぜ、新たなボスマン判決が必要なのでしょうか?
B 数千万ユーロで選手を獲得するなど普通のことではない。私の時代には1700万ユーロでも法外な額だったが、今日ではそのような額が子供たちのために支払われている。選手たちには少ししか金が行き渡らず、反対にクラブは莫大な額を手にし、資金洗浄だって絶えない。