ランパードが残した偉大なる実績。数々の記録を樹立
例えば、アウトフィールドプレーヤーとしての164試合連続出場は現在もプレミア記録だ。全大会合計の通算211ゴールはチェルシー史上最多で、今も破られていない。また、プレミアリーグ史上150ゴール以上をマークしたミッドフィールダー7名のうちの一人であり、ゴールアシスト数でもライアン・ギグスに次いで2位。
チェルシーの年間最優秀プレーヤーに三度選ばれ、2005年(あのリヴァプールがチャンピオンズを制した年)には、イングランドの記者協会最優秀賞を受賞、FIFA最優秀プレーヤー賞およびバロンドールではそれぞれ第2位の票を集めている。
2004年と2005年には、2年連続でイングランド最優秀プレーヤー賞。1999年デビュー以来の代表では、106キャップ・29ゴールを残し、ユーロ2004ではベストイレヴンに選出、2006年W杯予選では5ゴールでイングランドの得点王。また、代表戦のペナルティーキッカーとしても通算9ゴールをマークしているが、これは往年の名手ロン・フラワーズおよびアラン・シアラーの記録を凌ぐイングランド記録である。
ざっと数え上げても、ランパードが残した記録リストの中身は紛れもなく「最高のミッドフィールダー」にふさわしいものがある。が、それ以上にランパードが数多の指導者や同僚プレーヤーから「グレイテスト」と称される所以は、そのプレースタイルにある。
ユース代表時代のアンカーに始まり、あるときは中盤センター、またワイドプレーヤー、アタッキングミッドフィールダー、ディフェンシヴミッドフィールダーとしても、常にトップクラスの働きを示すユーティリティー性を、目を見張るスタミナとゲームの流れを的確に読む視野でこなし、その上、プレースキックも含めてストライカー顔負けの得点能力を発揮する…。さて、こんな幅広い能力を20年間におよぶイングランドのトップリーグや代表戦で果たしてきたプレーヤーが、他にいただろうか。
圧倒的な統率力とヴァイタリティー(例えばジェラード)、針の穴をも通す正確無比なキック力(例えばベッカム)、風のごとくディフェンスを切り裂く韋駄天ドリブラー(例えばマクマナマン)など、一芸(プラスアルファ)に秀でた歴代ミッドフィールダーたちに比して、ランパードがいかにオールラウンドで稀有な才能の持ち主だったかがわかろうというものだ。