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マルセイユ、新オーナーの下で本気の補強。「しがみつきたい」。決意の念を語った酒井宏樹

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

酒井宏樹が感嘆したエブラの気遣い

フランス代表でも実績が豊富なパトリス・エブラ
フランス代表でも実績が豊富なパトリス・エブラ【写真:Getty Images】

 試合後、決勝ゴールの起点にもなった右SBの酒井宏樹にパイエの印象を尋ねると、「(一緒にプレーしたのは)今日が初めてですけど、相手をはがす動きがすごくうまいですね。ワンツーとかも安心して渡せる。確実に返ってくるし技術がすごい」と絶賛。

 ちなみに“ディミ”は、酒井が言うところの「アタッカー陣に必要なイケイケキャラ」らしい。

 13年から15年まで2シーズン、マルセイユに在籍したパイエは計15得点を挙げた。その後イングランドのプレミアリーグに渡り、ウェストハムで直接FKからゴールを連発してブレイク。フランス代表にも復帰すると昨年のユーロでも終盤に得点をあげてチームに勝利をもたらすなど大活躍だった。

 今季これまでのマルセイユには、プレースキッカーが乏しかった。FKを受け持つトーバンは左利きで、右から打てる名手がいなく、セットプレーもチャンスにつなげられていなかった。そこで、正確なキックでワンチャンスで局面を変えられるパイエの飛び道具は大きな武器になる。

 トーバンも「パイエの加入はとんでもなく素晴らしいよ。イングランドでも経験を積んだ彼が加わってくれて本当にうれしい。選手たちの自信にもつながる」とスターの加入を大歓迎だ。

 この試合では見せ場は少なかったが、先発メンバー、ベディモの負傷で手薄になっていた左サイドバックにエブラが加入したことも大きなプラスだ。フランス代表でも長らくキャプテンを務めた彼の印象として、まず酒井が感服したのは、「立ち振る舞い」だったそうだ。

 居ながらにしてキャプテンの風格を漂わせる彼は、見た目以上に面倒見の良い先輩であるらしく、「練習中も声をかけてくれるし、監督がやっていることを、ささっと歩み寄ってきて通訳してくれたりする」と、酒井はさりげないベテランの気遣いに感嘆している。

 一戦ごと心理的にも厳しくなるシーズン終盤に向け、ビッグクラブを渡り歩いた百戦錬磨のエブラの存在は、新入りばかりが集まった今季のマルセイユのかじ取り役として、重要な意味をもつことになるだろう。

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