早速痛手となったボナベントゥーラの存在感
スソやデウロフェウが放ったクロスに、うまく合わせる選手がいなければそのための戦術的な動きもない。ユベントスで言えば、サミ・ケディラのようにクロスに対しCFが潰れた後のスペースへ飛び込むような選手のことだ。モンテッラ監督はマリオ・パザリッチやアンドレア・ベルトラッチにその辺りを期待していたのだろうが、結果はこの通りである。
一方で、デウロフェウやスソはこの試合でほぼクロスの上げ手にとどまっていた。デウロフェウは左アウトサイドに張り付いたまま。またスソは外から中へと切り込むカットインが徹底的にマークされ、シュートや中央にラストパスを入れるようなプレーをさせてもらえなかった。
こういう時、ミランはボナベントゥーラが解決をしてくれた。サイドアタックが足りなければ縦に突破し、敵陣が硬ければドリブルで突っ掛けたのちにミドルを放ち、逆サイドからのクロスに反応してシュートを打つ。彼の不在は、攻めあぐねて困ったこの試合で早速痛手となったということだ。
もっとも試合終了間際に、ジャンルカ・ラパドゥーラがGKとの1対1を外さなければ違うムードで試合は終われたかもしれない。
「監督、あそこにいたFWがもしモンテッラだったら、あれは決めていたでしょうか?」
地元記者から飛んだ質問に、かつての名ストライカーは返事に困って苦笑していた。
(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)
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