新機軸が機能するも…ゴールに迫るプレーで質を欠く
だが問題は、押しても点が取れなかった、というところにあった。
その要因の一つは、サンプドリアの最終ラインが固かったということだ。マルコ・ジャンパオロ監督は引いて守ることを良しとせず、4バックに高い位置を取らせて攻撃的に戦わせることをポリシーとする指導者である。だがこの日はしっかりラインを引いてゴール前に人数を整え、次から次にミランのクロスを跳ね返すシーンが続いた。
「あえて守備的な戦い方をしたというよりは、ピッチの幅を支配して中盤を繋いでくるミランに想定以上に攻められたので、それに対応したということだ」とジャンパオロ監督は振り返っていた。だがその最終ラインは、ほとんど慌てたところを見せずに耐えた。ミランの猛攻を喰らっても、4バックそれぞれの集中力は最後まで保たれていた。
前述のように、前半はサイドの構造的な数的不利を突かれてピンチを多く迎えるが、後半になるとジャンパオロ監督はすぐに戦術変更で対応。サイドハーフのフィリップ・デュリチッチを投入し4-4-2へシステムを変え、左右ともにサイドを固めた。
結局そのデュリチッチがクリスティアン・サパタのミスパスを拾い、最終的にファビオ・クアリアレッラのPK奪取へと繋げるのだから、極端な言い方をすれば勝利を導いた一手だったとも言える。
このようにサンプが緻密に守備を固めた一方で、ミランは最後の一押しを決めるプレーの質を欠いた。これが、この試合で彼らが無得点に終わった要因の一つだ。
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