ミラン、試合を優位に進めるも痛恨の3連敗
「3連敗をこういう形で迎えるのはキツい。試合を大部分にわたって支配していたのは我々のチームだし、相手にも攻撃のチャンスをほとんど与えなかったはずだ。選手たちはできることをやってくれていた」
0-1で敗れたサンプドリア戦後、ミランのヴィンチェンツォ・モンテッラ監督はチームを擁護した。ポゼッション率は70%、シュート数はサンプの9本に対し17本と、ミランは負けに値する出来ではなかったことは確かに今回もスタッツに出ていた。「前回(第4節)の敗戦が不当な結果だったように、今回はドローが妥当だろう」と敵将のマルコ・ジャンパオロも認めていた。
故障者が多く、多くのところで変更を余儀なくされたフォーメーションもうまく機能し、ミランは敵陣とボールの支配に成功していた。
長期離脱の決定したジャコモ・ボナベントゥーラが最近の試合で務めていた左ウイングにはジェラール・デウロフェウが就き、またサイドバック陣は左右ともにコンバートで対応。左は普段はCBを務めるアレッシオ・ロマニョーリが、また右には身体能力に優れ縦の飛び出しや推進にも優れるユライ・クツカが起用された。
しかし、違うのはメンバーだけでなく戦術上の機能もしかりだった。これまでのミランは攻撃時、両サイドバックがいっぺんに高い位置に張り出す。ところが今回は、ロマニョーリは前方のMF陣を追い越したポジションは取らず、むしろ最終ラインに張り付いて3バックを形成。そして左の攻撃は、突破力に優れるデウロフェウにほぼ一任するという格好だ。そのデウロフェウは、中に絞ってプレーするよりひたすらアウトサイドから仕掛けた。
そしてこれらの新機軸は、サンプに対して有効に働いた。余裕の増した3CBはショートカウンターを狙ってくるサンプの2トップを抑え、フィニッシュワークの実行を阻む。デウロフェウは左サイドの外を一人で押し込み、右ではスソとクツカが連携して厚みのある攻撃を仕掛けていた。サンプの採用する4-3-1-2というシステムには、サイドが数的不利に陥りやすいという欠点がある。ミランはうまく幅を取り、その両サイドを使ってチャンスを作りまくったのである。