圧巻のアザールのゴールに見えるチェルシーの戦い
2点目はアザールの圧巻のドリブルから生まれたが、まずはアザールがプレスバックしてプレッシャーを掛ける。3バック中央のダビド・ルイスが前に出てクリア、ジエゴ・コスタがヘディングで繋ぎ、アザールがそのボールを受けて独走。前線3人の献身的な守備と攻守の切り替え、コンパクトな陣形。まさにチェルシーの今シーズンの戦いを象徴するようなシーンであった。
もし高い位置で奪えず、縦や中央にボールを繋がれたとしても、中盤センターの2人、エンゴロ・カンテとネマニャ・マティッチのところで回収してしまう。このカンテとマティッチのファウルなしでボールを奪う能力はプレミア随一で、奪った後は2人ともシンプルに前に残っている3人か両ウイングバックに渡す。そこからのショートカウンターでゴールを奪いきる。
前線、中盤の連動した守備と攻守の切り替えでポゼッション率が劣っても相手を圧倒してしまうのが今シーズンのチェルシー。実際にアーセナル戦のポゼッション率は41パーセント、パス数は150本以上下回っても試合内容は完全にチェルシーのものだった。
今シーズンのチェルシーの戦いを見ると、ポゼッション率はトップ6(チェルシー、アーセナル、トッテナム、リバプール、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド)の中でも高くはないのだが、上記のように中盤のエリアまででボールを奪ってしまうので、ディフェンスラインがペナルティエリア内まで下がることは滅多にない。
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