同じ条件のチェルシーとリバプールの違い
ヨーロッパのコンペティションへの参加もなく、ほぼ週に1度のペースで試合が行われるのは、新任のコンテ監督にとってはラッキーなことだった。選手たちは疲労が溜まらず、しっかりと戦術的なトレーニングを積むことができる。
一方で、同じくヨーロッパのコンペティションがないリバプールが2017年になってから、ハルやスウォンジーといった残留争いをしているチームに敗れているのとは大きな違いだ。
リバプールがプレミア1の走行距離を誇ることからもユルゲン・クロップ監督が前線からプレスに行き、ボールを奪いきることを目標としていることが分かるが、このスタイルは選手に相当のスプリントとフィジカルコンタクトを求めることになる。今のリバプールの不調は、年末年始の連戦を経て選手たちの疲労がピークに達しているからと考えられる。
プレスの急先鋒であったサディオ・マネがアフリカネイションズカップで抜かれてしまい、疲労が溜まる中でもプレスに行く。全体が連動することができずにバランスが崩れ、失点を喫するというシーンが見られる。スウォンジー戦で許した決勝点も左サイドでボールを奪いきれず、ジョーダン・ヘンダーソンが裏を取られ、そこから全体がボールサイドに寄ってしまい、失点を許してしまった。
かたやチェルシーは前線3人のプレスはボールを奪いきることを目的としていない。コースを切ってサイドに追い込む、もしくはプレスバックして中盤の守備を助けることで仕事は完了。そこでボールを奪えれば、すぐにショートカウンターに入る。
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