「やっぱり同じピッチに立って、試合をしたい」(稲本潤一)
総合力が問われる土壇場で求められるのはチームの一体感。試合に出られない選手たちがレギュラー組に敬意を抱き、日々の練習でそれこそ120パーセントのパフォーマンスを発揮していくことで、お互いに切磋琢磨していく状況が生まれる。
その象徴がジェフのホーム、フクダ電子アリーナに乗り込んだ第41節となる。1‐1のまま迎えた後半のアディショナルタイム。途中出場のFW内村圭宏が叩き込んだ奇跡の逆転ゴールが、最終節で引き分け以上の結果を残せば、5シーズンぶりにJ1へ復帰できる状況を生み出した。
ファンやサポーターの間で語り継がれていくジェフ戦を小野はベンチで、稲本はスタンドで見届けた。いざ、J1の舞台へ。小野にとっては清水エスパルスに所属していた2012シーズン以来5年ぶり、稲本にとっては川崎フロンターレの一員だった2014シーズン以来、3年ぶりの帰還となる。
小野に遅れること約7ヶ月。2015シーズンからコンサドーレの一員となった稲本が静かに語る。
「やっぱりシンジ(小野)と同じピッチに立って、試合をしたい気持ちはやっぱり強い。お互いけがをしていますけど、しっかりと治して、2人で活躍したいですね」
2人が共演を果たしたのはこれまでに6度。一緒にピッチに立った時間は293分間にとどまっていて、なおかつ東京ヴェルディに苦杯をなめた昨シーズンの開幕戦を最後に途切れたままになっている。
1999年のワールドユース組のその後を見ると、18人のベンチ入りメンバーのうち7人はすでに引退している。しかし、鹿島アントラーズのMF小笠原満男をはじめとして、今年で38歳になる選手たちの半数以上がピッチでボールを追いかけている。
守護神の南雄太(横浜FC)らはJ2で。左サイドで存在感を放った本山雅志(ギラヴァンツ北九州)はJ3から捲土重来を期し、エースストライカーだった高原直泰(沖縄SV)は沖縄県社会人リーグで選手、監督、クラブの代表を兼任する新境地にチャレンジしている。