トーレス投入により踏んだ一歩。停滞したバルサ
メッシがその数あるレパートリーの中からミドルレンジからのシュートを選択し、バルサに2得点目をもたらした後、シメオネには何かしらのアクションを起こす以外の選択肢がなくなっていた。それは選手交代という策によって実行されたわけだが、チームのプレーは確かに、著しく改善された。
ハーフタイム、シメ・ヴルサリコに代わって投入されたフェルナンド・トーレスは、すでに試合に勝ったと自惚れるバルサに対して、どうプレッシャーを与えるべきかを理解していた。またヴルサリコの代わりにフアンフランが右サイドバックを務めるDFラインは10~15メートル前進し、自陣ペナルティーエリアよりもハーフウェーラインに近いところに位置した。
58分にはサウールとの交代でガイタンがピッチに立ち、カラスコ、グリーズマン、トーレス、ガイタンと実質的に4人のアタッカーが前線から積極的にプレッシングを仕掛けるように。加えて、DF陣はボールホルダーに詰め寄るようになり、メッシとL・スアレスは前半のようにライン間でスペースを見つけられなくなった。
シメオネは68分にカラスコに代えてガメイロを投入。グリーズマンがカラスコに代わって右サイドに入り、コケ及び後半から一気にパフォーマンスを上げたガビの2ボランチに手を貸した。また存在感のなかった左サイドバックのフィリペも、ようやく前線へと駆け上がるようになり、その真価を発揮している。
そうして、バルサは舞台から姿を消した。ときに与えられるスペースからカウンターに転じることなく、ボールを追う嗅覚すら消失。デニス・スアレス、ラフィーニャ・アルカンタラの投入も状況を変えることにはつながらず、マスチェラーノは一杯一杯となっていた。バルサは最後までリードを維持したものの、そのパフォーマンスは停滞したままだった。
(文:エンリケ・オルテゴ【スペイン/マルカ】、翻訳・構成:江間慎一郎)
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